漫画が描きたくなる本

『労働者のための漫画の描き方教室』(川崎昌平 春秋社 2018.7)という本を読みました。

この本は、既存の漫画制作を根底からひっくり返しています。
それだけに、「漫画を描きたいけれど、なにやら難しそうだ」と、
おじけづいている人には、
「そういう漫画なら私にも描けそうだ」と勇気づけられる思いがします。

以下に、この本の ポイントだけ 抜き書きしておきます。

漫画とは

まず、「漫画」のとらえ方です。
絵としての漫画要素を徹底して省略しています。
どうやら、漫画に必要なのは、
円と点のようです。
点は、2つです。

円と2つの点があれば、顔が表現されます。
体は――。
顔を書けば、「体は顔につながっている存在」なので、
体は自然に出来上がります。
体をどう描くかは、その時の気分に任せるようです。

労働者

なぜ、「労働者のための漫画」なのでしょうか。
労働者という言葉で表現しているのは、
「現代社会に活動している人々」のようです。
現代社会の”労働者”は、活動することに日々追われています。
なので、漫画描きにあてる時間をできるだけ省く必要があります。
だから、徹底した省力画法を展開しています。

円と2つの点 そして必要に応じて 口を現す小さな円で
また別の顔が出来上がります。

眉は描きません。
眉を書くと普通の(既存の)漫画を目指すことになるからです。
普通の漫画を描こうとすると、すごく難しいので、
貴重な時間を奪われることになってしまいます。

背景も描きません。
背景は必ずしも必要ないので、
必要ないものを描きこむことに時間を消耗したくないからです。
ということで、世に言われる「漫画を描くための技法」は追及しないことに徹しています。

漫画を描くメリット

この本の筆者は、漫画を描くことで、
「壊れそうになった自分が救われた」ということを実体験しているようです。
制作する側にとっては、漫画を作ることで、
・心の中に溜まった何かを吐き出しくれる
・疲れた心を蘇らせ、心地良さを感じることができる
というメリットがあるとのことです。

まだどこにもない漫画を描く

この本の筆者は、
「私たち人間は決して漫画を絵としては見ていない」
「漫画は読むもの。 読むことで 漫画と相対している」という
考え方です。

漫画の読者は、漫画を読み込んで行くことで、
文脈によって 表情や感情を感じ取っているというわけです。
したがって、
「言葉があればもうすでに漫画になる」
「淡々とセリフを繰り出す無表情の人物たちだけでも漫画になる」
とのことです。

だから、王道的な漫画技法を徹底して除外し、
まだ「どこにもない漫画を描こう!」と訴えています。

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ということですが、いかがでしょうか?
「漫画を描いてみたい」という気分になってきませんか。

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