実行されれば、「テスラに危機」 JPモルガンが警告
IRA補助金廃止で最大5000億円の損失か
マスクは強気姿勢を崩さず
[IRA補助金廃止]自体を縮小あるいは不実行も
山田雅彦
2025年01月26日
引用:Investopedia
トランプ政権2期目就任後、電気自動車業界に不安が広がっている。
ドナルド・トランプ次期大統領の 環境政策に対する消極的な姿勢が背景にある。
すでにトランプ政権2期目の政策方針は環境産業よりも従来型産業を重視する方向性が鮮明となった。
この懸念を裏付ける分析が先月3日に公表された。
JPモルガンのアナリストが、トランプ政権2期目の政策方針がテスラの経営を圧迫する可能性があるとの報告書を発表したのだ。
一方でマスクは、むしろIRA補助金廃止に賛同する発言を続けている。
JPモルガンとマスクの主張、その根拠を詳しく見ていこう。
引用:Global Finance Magazine
引用:CNN
JPモルガン、収益悪化を警告
テスラ経営リスク分析
トランプの公約通りIRA補助金が廃止された場合、
テスラの利益が最大40%減少する恐れがあるとの見方だ。
金額にすると32億ドル(約5,000億円)という巨額な損失となる。
またJPモルガンのアナリストは、テスラの市場シェアが1.8ポイント低下すると予測している。
これは2024年のテスラの業績低迷とも無関係ではない。
2024年、テスラは10年ぶりに販売台数が前年割れを記録。
2024年の最終販売台数は2023年比で1%減少した。
ここにIRA補助金廃止が重なれば、テスラの販売台数がさらに落ち込む可能性がある。
JPモルガンのアナリストは、
IRA補助金廃止の打撃が他のEVメーカーと比べてテスラにとってより深刻になると分析している。
引用:Reddit
引用:Carscoops
強気の姿勢崩さぬマスク
IRA補助金は不要との立場
市場の不安をよそに、マスクはIRA補助金廃止に前向きな姿勢を示している。
テスラのブランド力とEV業界での独自の地位に自信を持っているためだ。
テスラは新規参入が相次ぐなか、依然として市場での優位性を保っている。
この市場支配力を背景に、IRA補助金の影響はテスラより競合他社の方が致命的になるとの見方だ。
しかし競合各社の認識は大きく異なる。
現代自動車グループはIRA補助金廃止を「懸念材料とは考えていない」として、
市場の不安を一蹴した。
EV事業への投資を決めた時点で、補助金は存在せず、
計算にも入れていなかったとの立場を示した
JPモルガンの分析とマスクの自信、どちらが的確か判断する上でもう一つ重要な要素がある。
それはIRA補助金が廃止されない可能性だ。
IRA補助金の廃止はEV市場だけでなく、米国の労働界、さらには米国経済全体にも影響を及ぼす。
廃止されれば1,300億ドル(約20兆円)の損失が米国経済に及び、
IRA政策で生まれた30万人の雇用が危機にさらされる。
広範な悪影響をもたらすこの政策は、議会の承認はもちろん、
共和党内部からの反対にも直面する可能性が高い。
それでもなお、トランプという人物の予測不可能性が業界全体に緊張をもたらしている。
IRA補助金が廃止されない場合でも、規模縮小の可能性が指摘されるなど、
様々なシナリオが浮上している。
IRA補助金を巡る議論が与える影響とその帰結に、業界の注目が集まっている。。
引用:Responsible Statecraft
引用:Carscoops
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