トランプ米政権の相互関税に関する姿勢が揺れ動いている。ほぼ全ての国・地域に一律にかけた関税の対象から、スマートフォンなどを外すことを決めた。米アップルのスマホ「iPhone」の値上がりの可能性に注目が集まるなど、消費者に広がっていた懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。
対象から外すことは、米税関・国境警備局(CBP)が、11日夜に通達した。除外されるのは、スマホやノートパソコンなどの電子機器のほか、半導体製造装置や電子集積回路などで、相互関税が最初に発動された5日以降の輸入分にさかのぼって適用されるという。
トランプ政権は相互関税について、全面発動したその日に税率の一部の適用を90日間にわたって停止すると表明した。現在はほぼ全ての国・地域にかけている税率は一律10%。一方、関税のかけあいとなった中国に対する、相互関税の税率は125%となっている。
米国内では高関税政策で、iPhoneが大幅に値上がりする可能性をメディアなどが取り上げていた。中国で組み立てなどをしているためで、消費者にも懸念が広がっていた。
アップルは、今後4年間で米国内に5千億ドル(約72兆円)を投資すると発表しており、対中関税の影響を回避するためとされている。ただ、米CNNは専門家の話として、iPhoneが米国製になった場合、価格が現在の3倍超になる可能性があると報じた。
また、半導体製造装置など、トランプ氏が推し進める半導体工場の建設といった、米国内での投資拡大に不可欠な製品も除外された。日本を含む海外企業に依存している製品もあり、適用除外とすることで、関税が投資の障壁とならないよう、配慮する狙いもありそうだ。
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