エプスタイン
ドナルド・トランプ米大統領が就任以降初めて、岩盤支持層であるMAGA(メーク・アメリカ・グレート・アゲイン=トランプ氏の選挙スローガン)支持者から大きな反発を受けている。
その理由は、司法省が7日付のメモで、FBI(連邦捜査局)との合同捜査の結果、少女らへの性的虐待罪などで起訴され公判前に自殺した実業家ジェフリー・エプスタイン元被告に関して、買春したとされる有名人顧客リストはないと発表したからだ。
エプスタイン氏は、私有島に多くのセレブ、有名人、権力者らを招き、そこで少女をあてがい、弱みを握っていたとウワサされた。マンハッタン拘置所に勾留中の2019年に自殺したが、口封じの殺人だったという陰謀論が広まっていた。
トランプ氏は大統領選挙中から、エプスタイン氏の死について、さらなる文書の公開を約束していた。そんな中、パム・ボンディ司法長官は2ページのメモを発表し、顧客リストは見つからなかったと結論付けた。これがトランプ支持者を激怒させ、ボンディ氏の退任を要求するなど、反トランプの風が吹くことになった。
あわてたトランプ氏は12日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルに「何年もの間、エプスタインのせいばかりだ。なぜわれわれは、オバマ、悪徳ヒラリー、コミー、ブレナン、そしてバイデン政権の敗者と犯罪者たちが書いたファイルを公表するのだろうか」と前任者のせいにしようとした。さらに「パム・ボンディに仕事をさせてやろう。彼女は素晴らしい」とボンディ氏を擁護した。
これに現在、仲たがい中の実業家イーロン・マスク氏は、反トランプの風に乗っかり、Xに「彼は『エプスタイン』という言葉を6回も口にしながら、みんなにエプスタインについて話すのをやめるよう呼びかけた。約束通りファイルを公開すればいい」と投稿した。
マスク氏は以前、トランプ氏自身もエプスタイン氏の顧客リストに含まれているとXに投稿し、攻撃したことがあった。それだけに、MAGA支持者にとっても、顧客リストがなかったとする結論は衝撃だっただろう。
米国事情通は「MAGA支持者にとって、トランプ氏は、過去の政府が隠蔽してきた文書を全て公開しようとする英雄です。そのトランプ氏がエプスタイン氏についてだけ、〝何もなかった〟という結果は受け入れられないでしょう」と指摘。実際に有力な支持者からも異論が出ている。
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