トランプ政権ゆるがす「ファイルズ」

トランプ氏の支持基盤である「MAGA」は当初熱狂したものの、ここにきて距離を置き始めた。ABCニュースは「トランプ氏の政治的危機」と呼んだ。

「エプスタイン・ファイルズ」。少女買春などの罪で6年前に起訴され拘置所の独房で自殺したジェフリー・エプスタイン元被告の膨大な捜査ファイルが注目を集めている。エプスタイン事件が連日有力紙のトップを飾る。

MAGA支持者は、「「エプスタイン・ファイルズ」を隠蔽しているのは、トランプ氏を含む(関係のあった)著名人を守るため」と批判。
「公表する」との選挙公約を守るよう主張した。

CBSニュースが19日発表したトランプ氏の支持率は42%。不支持率は51%と2月時点から10ポイントも増えた。ワシントン・ポストは、トランプ氏はエプスタイン事件に翻弄され、経済と移民問題で支持基盤を失ったと報じた。

「驚くほど裕福な金融家で、マンハッタンで豪華な生活を送る男であり、女性や少女を人身売買し有罪判決を受けた性犯罪者」。

ロサンゼルス・タイムズは、エプスタイン氏をこう表現。

「セックスと政府による隠蔽工作をめぐる疑惑が、エプスタイン氏の陰謀論を長きにわたり生き続けさせた」とするコラムを掲載した。

ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏にとって恥ずべき、もしくは政治的に問題になるような内容がファイルに含まれている可能性を示唆するエプスタイン氏の元従業員の発言を伝えた。

スキャンダルに拍車をかけたのはウォール・ストリート・ジャーナルの17日付の記事だ。「トランプ氏が、下品な手紙で、エプスタイン氏の誕生日を祝っていた」と題し、「裸婦の輪郭のなかに数行の文書が書かれ、Donaldと書かれたトランプ氏の署名は陰毛を模して腰の下にくねくねと書かれていた」と詳しく報じた。トランプ氏は「手紙は偽物」と否定。ウォール・ストリート・ジャーナルは「忌まわしく汚らしい新聞」とSNSで批判。親会社のダウ・ジョーンズ、ニューズ・コーポレーションと創業者のマードック氏、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者2人を相手取り100億ドル(約1兆4800万円)の損害賠償を求める訴訟をフロリダ州の裁判所に提起した。

数々のスキャンダルを乗り越えてきたトランプ氏にとって、エプスタイン事件は新たな試練。トランプ氏を守る頑丈な鎧であるMAGAに亀裂が生じた。金融市場への影響はまだないものの、進展次第でトランプ氏の求心力が低下し、政策に影響する可能性は否定できない。来年の中間選挙を控え、共和党議員の対応にばらつきがあるようにみえる。暗号資産(仮想通貨)で取引する予測・賭けサイト「ポリマーケット」によると、トランプ氏が「エプスタイン・ファイルズ」を公表する確率は21日時点で21%。直近最高値の18日の30%から下がった。

……..

民間人時代のトランプ氏は、(有力人物らに未成年者を性的に接待した疑いで収監され、その後自殺した)ジェフリー・エプスタイン氏に関連し、陰謀論をあおってきた。

トランプ氏とその支持者たちは、
「エプスタイン氏の死は他殺である」
「他殺の背後には(民主党関係者を中心とする)“ディープ・ステート(闇の国家勢力)”がある」
といった主張をしていた。


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