イスラエル、レーザー光線でミサイル・無人機を迎撃 1発200円

 【エルサレム=福島利之】イスラエル国防省と軍事会社ラファエルは17日、レーザー光線でミサイルや無人機を撃ち落とす対空防衛システム「アイアン・ビーム」を開発したと発表した。国防省のアミル・バラム事務次官は「世界で初めてレーザー迎撃システムが運用段階に到達した」と述べた。年末までに実戦運用を始める。同社は「現代の戦争でのゲームチェンジャー」としている。

イスラエル中部テルアビブ上空で、ミサイルを迎撃する対空防衛システム「アイアン・ドーム」(6月13日)=AP© 読売新聞

 イスラエルは、短距離ミサイルに対応する対空防衛システム「アイアン・ドーム」など3層構造でイエメンなどから飛来するミサイルを迎撃してきた。ドームの弾薬が1発約5万シェケル(約200万円)と高額なのに対し、レーザーは電気代の5シェケル(約200円)程度で済む。

 ドームではミサイルの軌道を計算して上空で撃ち落とすため、ミサイルの破片が住宅街に落ちて被害が出ることがあった。レーザーではミサイルの発射直後の迎撃が可能となる。

 ラファエルの開発関係者らによると、まず追尾用の弱い光線をミサイルに当てる。標的に当たって反射してきた光線を瞬時に把握し、その光線を鏡で増幅して鋼鉄を焼き切るほど強力な光線を作った上で、2度目の照射をし、ミサイルを破壊する仕組みだ。レーザーでの迎撃は1960年代から米国やソ連(当時)で開発が進められてきたが、成功しなかった。ラファエルの科学者が数年前、2度照射する方法で突破口を見いだしたという。

 レーザーは雨や砂ぼこりの日に使用しにくいという弱点があるため、イスラエルは当面、ドームなどと併用して運用する方針だ。カッツ国防相は「レーザー迎撃能力の実戦化の最初の国だ」とし「我が国の防衛体制における歴史的な節目だ」と強調した。

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