戦闘泥沼化か 米・イスラエルによるイラン攻撃

三菱総合研究所の中川浩一主席研究員© 産経新聞

米国とイスラエルによるイラン攻撃が開始されたが、これは昨年6月に起きた米・イスラエルとイランの「12日間戦争」が、一旦打ち止めされたに過ぎなかった証左だ。この間、イランの核開発をめぐるウラン濃縮などの双方の見解の隔たりは全く埋まらず、米国とイスラエルは再攻撃のタイミングを常時狙っていた。

前回と違うのは米国の姿勢だ。トランプ政権は今年に入り、ベネズエラを奇襲し、グリーンランド領有に野心を見せるなど、帝国主義的な「力による平和」の動きを露骨に見せている。今回の攻撃は、ベネズエラの〝成功〟で勢いづいたトランプ政権が主導し、イスラエルがそれに追随したように映る。

この戦争は、長期化する可能性が高いとみている。すでにイランはイスラエルに報復し、アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンなどの米軍基地にも対象を広げている。

また、核施設の破壊のみならず、ハメネイ師をトップとするイランの体制転換を狙う米国とイスラエルは、ハメネイ師の殺害を経て、親米政権樹立のために地上戦も視野に入れている可能性もある。

ただ、ベネズエラと違い、イラン指導部内には親米勢力はいない。ハメネイ師を排除できても「第2のハメネイ師」が現れる。長期戦になればイラク戦争のように戦闘が泥沼化し、米軍に多数の死者が出るだろう。トランプ大統領はその教訓を忘れたのだろうか。

イランがホルムズ海峡封鎖のカードを史上初めて切る恐れも十分にある。そうなれば石油の大半を中東に依存する日本への影響は計り知れない。日本の中東外交の真価も問われる局面だ。(桑村朋)

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