SNS 群衆 集団

相互監視 ← 親密化 クローズド化

インフルエンサーに支配される

群れで動く 同調と共感によるグループ化

群れに入る → 安心感 居心地のよさ 価値観の共有

 

「渋谷にいるなら、一緒にご飯行かない?」。東京都内に住む大学生の渡辺光喜さん(20)は、位置情報共有アプリ「whoo your world(フーユアワールド)」で、友人が近くにいるのに気付いてメッセージを送った。位置情報共有アプリを使って、友人と待ち合わせをする若者たち(昨年12月、東京都渋谷区で)© 読売新聞

 しばらくすると、友人から「行こう行こう」と返信が。渡辺さんは「そっちに行く」と返して、友人のアイコンのある場所に向かって歩き出した。「どこにいるか、どれくらいで合流できるかも一目で分かるので便利です」

 アプリで登録した相手と位置情報を共有し合うSNSで、互いの位置は地図上にアイコンで表示される。アプリを運営する「LinQ(リンキュー)」(東京)によると、累計ダウンロード数は3000万にのぼり、利用者の約8割を10~20歳代が占める。買い物に出たついでに、近くにいた友人をお茶に誘うといった「ついで会い」ができることなどが、タイパ(時間対効果)を重視する若者に受け入れられている。

 地元や大学の友人と位置情報を共有する都内の大学生松田健佑さん(22)は、「位置が分かれば、バイト中なのか、大学で暇にしているのかも分かる。『今何してる』と聞く必要がないので効率的だし、気兼ねなく誘える」と語る。位置情報を共有するこうした若者たちのつながりを「シン密圏」と呼ぶ人もいる。

 若者文化に詳しい芝浦工業大教授の原田曜平さんは、「位置情報の共有は親しい間柄の友人とだけで行われている場合がほとんど」と話す。近年、若者の間では「SNSのクローズド化」が進み、許可した人しか見ることができない「鍵付き」アカウントでのやりとりが主流になるなど、「つながる相手を限定するようになっている」という。

フォロワーの数より親密さ

 若者に人気の「BeReal.(ビーリアル)」も、親しい友人とだけつながるSNSだ。1日に1度、不規則に通知が届き、原則2分以内に写真を投稿するよう促される。写真は加工できないため、ありのままの姿を見せることになる。

 ビーリアルを利用する都内の女子大学生(21)は「他のSNSと違って誇張がない分、写真からその人の個性や私生活が見えてくるので面白い」と話す。これまで、SNSといえば、フォロワー数の多さを競うようなところもあったが、「仲の良い友人とより親密になるために使っている」という。

 若者の行動実態に詳しい博報堂のマーケティングプランナー、奥村耕成さんは「位置情報や未加工の写真のように、開示がためらわれる情報を共有することが、友人との親密性や連帯感を高めている可能性がある」と分析する。

友人関係が二極化

 SNSの普及で誰とでもつながれるようになり、若者たちの友人関係は細分化が進んだ。学校の同じクラスの友人、同じ趣味を持つ友人、同じミュージシャンが好きな友人など、様々なグループに属し、その時々の状況に合わせてグループを切り替えながら、友達付き合いをしている。

 一方で、こうした「広くて浅い」友人関係が浸透したことへの反動や、コロナ禍で直接的なつながりが見直されたことによって、心を許し合い、「狭くて深い」関係が築ける相手を求める若者が増えているという。

 位置情報共有アプリの利用実態などを調査したサイニング(東京)の牧之段直也さんは「こうしたアプリは、深いつながりを求める若者の受け皿になっている。友人関係の二極化は、今後も続くだろう」と分析する。

 誰とでも、際限なくつながれる世の中だからこそ、より身近で、温かみのある人間関係を求める。若者たちの友人関係には、そんな欲求が見え隠れしている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました