「サウジアラビア、AI立国目指す2030年ビジョン」
サウジアラビアのサルマン皇太子は、人工知能(AI)を核とする新会社「HUMAIN(ヒューメイン)」を設立した。アラビア語の大規模言語モデル開発やAI専用データセンターの構築を通じて、同国をグローバルAIの中心地に押し上げる野心的な構想が動き始めた。2030年までにAI関連雇用30万人の創出を目指す。
国家戦略「ビジョン2030」の一環として、HUMAINはサウジアラビアの技術革新を象徴する存在。AIが世界の経済と社会を再定義する中、砂漠の王国が技術大国への変貌を加速させる。ビジョン 2030 では AI 関連の投資に 400 億ドル以上を割り当て、インフラの拡充、グローバルな技術提携の構築、中東およびそれ以上の地域における先進的な AI アプリケーションのハブとしての地位の確立を進めている。
HUMAINの設立は、サウジアラビアが石油依存経済から脱却し、多元化を目指す「ビジョン2030」の核心プロジェクトである。HUMAINは「人類の進歩を加速する技術革新」をミッションに、アラビア語圏向けのAI技術開発をリードする。AI 戦略は、2030 年までに同国を AI の世界的なリーダーに位置付けることを目標としている。
HUMAINの強みは、アラビア語に特化したAI技術だ。世界のAI市場は英語や中国語モデルが主流だが、アラビア語圏(約4億人)の言語処理技術は未成熟。このニッチを埋めることで、サウジアラビアは中東・北アフリカでの技術覇権を狙う。さらに、HUMAINは教育、医療、スマートシティでのAI応用を推進し、国内のデジタル経済を牽引する役割を担う。サウジデータ・AI庁との連携も、技術開発の加速に寄与する。
AI投資額は米国の公共AI予算(年間約200億ドル)や中国の国家AI計画(年間約300億ドル)を超える。サウジが2024年に始動した「Project Transcendence」は、1000億ドル(約15兆円)規模のAIイニシアチブで、研究機関設立、スタートアップ支援、データセンター拡充をカバーする。今回設立されたHUMAINは、このProject Transcendenceの柱として機能する。
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