〈勇気を出して海峡に行き、(自ら原油を)奪い取れ。自力で戦う方法を学び始める必要がある。アメリカはもう、あなたたちを助けてはくれない〉
これは世界を混乱に陥れるアメリカのトランプ大統領が、3月31日に投稿したSNSの文言だ。ペルシャ湾にあるホルムズ海峡の事実上の封鎖に苦慮する国々に対し、要するに「アメリカはイラン戦争から手を引かせてもらう。ホルムズ海峡がどうなろうと知ったことではない」とサジを投げる、事実上の「トンズラ宣言」である。
自分の手で戦争を始めておきながら、「あとは知らない」とは無責任の極みだが、実は今回のトンズラ発言には仰天の舞台裏があった。トランプ大統領を焦らせているのはズバリ、目前に迫りつつある「弾切れ」だ。
米軍の内情に詳しい軍事アナリストが暴露する。
「米軍は対イラン戦争初期の16日間で、1万1000発以上の弾薬を使用しました。
費用にしておよそ260億ドル(約4兆1500億円)にも上る使用弾薬のうち、
例えば終末高高度ミサイル防衛システム『サード』で消費されたミサイルは198発。
地上配備型高性能ミサイル防空システム『パトリオット』で消費されたミサイルは、402発にもなります。
米軍はこの時点ですでに深刻な弾薬不足に直面していたとされており、
トランプ大統領は『弾切れ』の前に戦争から手を引かなければならない窮地に追い込まれたわけです」
巡航ミサイルを生産・確保するだけで最低5年はかかる
トランプ大統領の心胆を寒からしめている弾切れについては、イギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)も
「現在の消耗速度が今後も維持された場合、米軍の核心兵器は1カ月以内に底をつく可能性がある」
と指摘しており、事態は極めて深刻だ。加えて弾薬の補充も、容易ならざる状況に陥っている。
軍事アナリストが続ける。
「RUSIはまた、この間に米軍が使用した約535発のトマホーク(巡航ミサイル)を
生産、確保するだけでも最低5年はかかる、と試算しています。
今後、対イラン戦争が弾切れの期限を過ぎても続いた場合、精密誘導兵器などの核心兵器を失った米軍は、爆撃機などから投下する旧来型の爆弾で応戦するしかない状況に追い込まれるでしょう」
ちなみに、米軍が開戦初期の16日間で消費したトマホークミサイルについては「850発以上」との一部報道もある。いずれにせよ、トランプ大統領は今、一刻も早く対イラン戦争からトンズラしなければならない苦境に立たされているのだ。
(石森巌/ジャーナリスト)

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