違和感を表現すれば、「軍や党の業界の人っぽい感じ」が薄い、という点に尽きる。くだんの文書は人民解放軍の現役ナンバー2怪手記にもかかわらず、価値観が妙に西側的(正確には海外に亡命した中国の民主改革派っぽい)。しかも天安門事件前後の古い話がやたらと多く、当事者感の薄い論評っぽい筆致を感じる。いっぽう、張又侠の立場でしかわからない情報や、その地位(軍の高官)ゆえに日常的に使われる特有の語彙が、あまりにもすくない。
法輪功系の情報は注意が必要だ。彼らは『大紀元』『看中国』『新唐人テレビ』『希望之声』など非常に多くの傘下メディアを擁しているのだが、中国共産党に対する憎悪がメインであるためか、飛ばし情報が非常に多い。「コロナ陰謀論(生物兵器論)の発信源のひとつ」という一事をもってしても、法輪功系情報の信頼性はお察しいただきたいところだ。
話題になった「張又侠の手紙」も、法輪功系の『看中国』に掲載された文書が、日本でAI翻訳されて拡散されたものだ。日本人の大部分は法輪功系メディアの問題点を知らず、中国共産党に不都合な情報=信頼できそうな情報だと早合点しがちなことで、釣られ放題というわけである。
中国当局による情報操作工作の影響よりも、無邪気にシェアされる「中国の深層(仮)」言説のほうが、よっぽど現実の脅威を判断する基準を歪めているように思える

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